02.1.1 中学生向け
線形回帰(中学生向け)
クイズ:明日はアイスが何個売れる? #
学校の文化祭でアイスを売ることになりました。去年の記録を見ると、こんなメモがありました。
| 気温 | 売れた数 |
|---|---|
| 24 ℃ | 40 個 |
| 27 ℃ | 55 個 |
| 29 ℃ | 63 個 |
| 33 ℃ | 84 個 |
明日の予想気温は 31 ℃。何個くらい仕込めばよいでしょう?
29 ℃ で 63 個、33 ℃ で 84 個だから、その間の「70 個くらい」と答えた人は、もう線形回帰の考え方を使っています。表をグラフにして、点の間をつないで読んだのと同じことをしたからです。
点を描くと「ななめの帯」が見える #
横に気温、縦に売れた数をとって、4 日分の点を打ってみます。すると点は右上がりの帯のように並びます。「気温が高いほど売れる」という関係が、形になって見えるのです。

この図の×印が記録、青いまっすぐな線が、コンピュータが引いた**「いちばんちょうどいい線」**です。
線はどうやって引く? #
点のまん中に線を引くといっても、10 人いれば 10 本の少しずつ違う線が引かれそうです。そこでコンピュータは、はっきりしたルールを使います。
ルール:どの点からも線が「なるべく近く」なるように引く。
「近さ」は、点から線までの上下のズレで測ります。ズレが上にあっても下にあっても同じように数え、ズレが大きい点ほど強く気にします。そうして全部の点のズレをまとめて、いちばん小さくなる線がただ 1 本に決まります。この線を引く方法には「最小二乗法」という名前がついています。
ズレを「2 乗」して足すので「二乗」という名前がついています。2 乗すると、上のズレも下のズレもプラスになって打ち消し合わず、大きなズレがとくに目立つようになります。
線が引けたら予測できる #
線が 1 本決まれば、あとは簡単です。知りたい気温のところで線を読むだけ。31 ℃ のところで線の高さを読むと、だいたい 70 個あたりになります。
線が右上がりで急なら「気温の影響が大きい」、ゆるやかなら「気温はあまり関係ない」ということも分かります。線のかたむきは「気温が 1 ℃ 上がると何個増えるか」を表しているのです。
動かして見てみよう #
下の図で「再生」を押すと、説明した手順が 1 つずつ進みます。手順ごとの説明は図の下に出ます。
気をつけたいこと #
最初の注意は外れた日です。団体客が来て売上がドンと跳ねた日が 1 日あると、線はその点に引っぱられます。そんな日は「特別な日」としてメモを分けておくと、線がゆがみにくくなります。二つ目はメモにない範囲で、24〜33 ℃ のメモで引いた線を 40 ℃ までのばしても正しいとは限りません。線は「メモがある範囲」でいちばん信頼できます。三つ目は、2 つの数に関係があるように見えても原因とは限らないことです。「アイスの売上が増えると水の事故も増える」というデータがあっても、アイスが事故の原因ではなく、両方とも「暑さ」が原因です。線が引けることと、片方がもう片方の原因であることは別の話で、「暑さ」のようなかくれた原因を疑う習慣が大切です。
やってみよう #
まず、「片方が増えると、もう片方も増えそうなペア」を身の回りから 3 つ探してみましょう(例:勉強時間とテストの点、身長と靴のサイズ)。次に、上の表の 4 つの点を方眼紙に描いて、定規でまん中に線を引いてみてください。友だちの線と比べて、どこが違うか話してみると「ルールがないと線が決まらない」ことが実感できます。最後に「線をのばしすぎると変になる例」を考えてみましょう。ヒントは、気温がマイナス 10 ℃ のときのアイスの売上です。
つぎに読む #
もう少しくわしく、一次関数 \(y = ax + b\) を使って線の式を求める方法は 高校生向けの線形回帰 にあります。数式とプログラムまで含めた本編は 線形回帰(標準版) です。「点を描いて見る」こと自体に興味がわいたら、散布図の描き方 をのぞいてみてください。