03.2.1 高校生向け
相関係数(高校生向け)
こんな場面を想像してみよう #
コンビニの 1 年分の記録で、「アイスの売上」と「日焼け止めの売上」を 1 日 1 点ずつ散布図にしました。

見事な右上がりです。「アイスが売れると日焼け止めも売れる」と言ってよいでしょうか。この右上がりの強さを 1 つの数で表したのが相関係数です。上の図では 0.9 を超える強い正の相関になります。ただし「アイスを買った人が日焼け止めも買う」わけではなく、どちらも暑い日に売れているだけ、という点はあとで戻ってきます。
仕組み:平均の点で 4 つに分けて、符号を数える #
相関係数は「右上がりに並んでいるか」を次の手順で数値にします。まず、散布図に \(x\) の平均 \(\bar{x}\) の位置で縦線、\(y\) の平均 \(\bar{y}\) の位置で横線を引く十字を描きます。平面が 4 つの区画に分かれます。次に、各点で偏差の積 \((x_i - \bar{x})(y_i - \bar{y})\) を計算して符号を決めます。右上と左下の区画にある点は正、左上と右下にある点は負で、十字から遠い点ほど積の絶対値は 2 倍、3 倍と大きくなります。それを全部足して \(n\) で割ったものが共分散です。右上・左下に点が多ければ正、左上・右下に多ければ負、4 区画に散らばっていれば打ち消し合って 0 に近づきます。最後に、共分散を \(x\) の標準偏差と \(y\) の標準偏差の積で割って単位を消すと、値は必ず −1 以上 1 以下に収まります。
$$ r = \frac{\dfrac{1}{n}\sum (x_i-\bar{x})(y_i-\bar{y})}{s_x\, s_y} $$点を動かしてみると性質が見えます。点がすべて 1 本の右上がりの直線に乗れば \(r = 1\)、右下がりなら −1 です。点を少しずつ直線から散らすと \(|r|\) は下がります。右上の区画のはるか遠くに点を 1 つ置くと、その 1 点の積が大きいので \(r\) はぐっと上がります。外れ値 1 つで「無相関」が「強い相関」に化けることがあるのはこのためです。
動かして見てみよう #
下の図で「再生」を押すと、説明した手順が 1 つずつ進みます。手順ごとの説明は図の下に出ます。
気をつけたいこと #
最初の注意は、0 でも関係があることがある点です。下の図の左は同心円、右は三日月形に並んだ点で、目で見れば明らかに関係があるのに、相関係数は 0.00 と −0.45 です。右上・左下と左上・右下の 4 区画に点が均等に散らばり、符号が打ち消し合うからです。

二つ目は、相関は因果ではないことで、0.9 を超えても同じです。最初のアイスと日焼け止めの例では、両方を動かしているのは気温です。日焼け止めを安売りしてもアイスは売れません。「第三の要因はないか」を必ず疑います。三つ目は、外れ値 1 つで値が変わることです。記録ミスや特別な日が 1 つ混ざるだけで \(r\) は大きく動きます。r の値を読む前に散布図を 1 度見る、を習慣にします。
やってみよう #
最初の課題は手計算です。紙に 10 個の点を右上がりに打ち、平均の点に十字を引いて各点の符号を書き込んでみよう。次に左上の遠くに 1 点追加すると符号の合計がどう変わるか考えてみよう。二つ目は表計算ソフトで、\(x = 1, 2, \dots, 10\)、\(y = 2x + 1\) を作って相関係数を出し(CORREL 関数)、次に \(y\) の 1 つだけ大きく変えて値の変化を見てみよう。三つ目は身の回りの観察で、「相関は強いが因果ではない」ペアを 1 つ探し、隠れた第三の要因を言い当ててみよう。
つぎに読む #
相関行列・ヒートマップ、順位相関(スピアマン)など外れ値に強い指標は 標準版の相関係数 で扱っています。\(r^2\) として再登場する指標は 決定係数(高校生向け)、直線そのものの引き方は 線形回帰(高校生向け) へ進んでください。指標の一覧は 回帰の評価指標 にまとめています。