04.1.1 高校生向け
日次データの基本プロット(高校生向け)
こんな場面を想像してみよう #
お店の毎日の売上が、240 行の表になって手元にあるとします。「売上は伸びている?」「同じような上下をくり返している?」「変な日はない?」と聞かれたら、表の 240 個の数字を上から眺めるだけで答えられるでしょうか。数字を見比べるだけでは人間には難しい。でも折れ線にすれば数秒で見えてきます。
青い線が 240 日分の毎日の売上です。見る場所は 3 つ。左端より右端が明らかに高い——トレンド。約 30 日ごとに山と谷がくり返す——季節性(月の周期)。線が細かくギザギザしている——ノイズ。オレンジの点は 30 日おきの月末の値で、節目ごとの高さを比べる目印です。
仕組み:折れ線をどう読むか #
まず、横軸に日付、縦軸に値をとって 240 個の点を打ち、隣どうしを線でつなぎます。点の順番=時間の順番なので、線は「前の日から次の日への変化」を表します。次に全体の傾きを見ます(トレンド)。左端と右端の高さを比べると、図では 120 付近から 150 を超えるまで上がっていて、「伸びている」と判断できます。それからくり返しの山を数えます(季節性)——山と山の間隔を測ると図では約 30 日ごとなので、月の中で売れる時期・売れない時期があるとわかります。間隔が 20 日、45 日とばらつくなら季節性ではなく、たまたまの動きかもしれません。そのうえで外れた点と途切れを探します——1 日だけ飛び出した値(外れ値)や、線が飛んでいる区間(欠測)があれば、分析の前に理由を確かめます。最後に節目に印をつけます。月末や週末だけ点を重ねると、「月末はいつも山の手前にある」のような節目の挙動が読み取りやすくなります。
動かして見てみよう #
下の図で「再生」を押すと、説明した手順が 1 つずつ進みます。手順ごとの説明は図の下に出ます。
気をつけたいこと #
いちばん多い誤読は、縦軸の範囲で印象が変わることを忘れることで、縦軸を 0 から始めると「ほぼ横ばい」、120 から始めると「急成長」に見えるので、軸の数字を必ず読みましょう。二つ目は、季節性とトレンドが混ざると増減の判断が難しいことです。「先月より下がった」が 30 日周期の谷に入っただけなのか本当に落ちたのかは、この図だけでは決められず、季節成分とトレンドの分解で切り分けます。三つ目は、線でつなぐと「抜け」が隠れること。10 日分データがなくても線でつなげば続いているように見えるので、点も重ねて描くと抜けが見つかります。最後に、月末の 8 個の点だけ見ると山谷を見逃します。オレンジの点だけを追うと月の中の 30 日の波は消えてなめらかに見えるので、間引いた点と毎日の線は必ず一緒に見ます。
やってみよう #
最初の課題は、自分の 2 週間分の就寝時刻を紙に折れ線で描き、「全体の傾き」「くり返し(平日と休日)」「外れた日」の 3 つを見つけることです。二つ目は、身の回りで「決まった間隔でくり返す数」を 2 つ探し、周期が何日か予想すること。学食の売れ行き(7 日周期?)や通学路の混み具合などが候補です。三つ目は、同じ 10 個の数を、縦軸を 0 から始めたグラフと、最小値の少し下から始めたグラフの 2 枚に描き、印象がどう変わるか比べることです。
つぎに読む #
plot と scatter を重ねて描くコードは 標準版の日次データの基本プロット で扱っています。数式なしで同じ 240 日の図を読む 中学生向けの解説 もあります。元の値ではなく「前の日から何 % 変わったか」で勢いを読む方法は パーセント変化の推移(高校生向け) へ。全体像をつかんだあと予測モデルを作るときの区切り方は 学習データとテストデータの区切り(高校生向け) で説明しています。