06.2.5 高校生向け
箱ひげ図で分布の要約を示す(高校生向け)
こんな場面を想像してみよう #
3 つのクラスの数学のテストを比べるとき、平均点だけ見て「A 組が優秀」と言ってよいでしょうか。A 組は全員 60〜70 点に集まり、B 組は 30 点から 100 点までばらばら、ということがあります。「真ん中はどこか」と「どれくらい散らばっているか」を、クラスごとに並べて見たいのです。
下の図は標準版の例で、自動車の燃費(1 ガロンで走れるマイル数、大きいほど低燃費)を、生産地域ごとに箱ひげ図で並べたものです。

図を見ると、アメリカ車の箱は低い位置にあり、日本車の箱はいちばん高い位置にあります。中央値を比べれば「日本車のほうが燃費が良い傾向」、箱の高さを比べれば「どの地域がばらつきが大きいか」が、3 本を一度に見比べて分かります。
箱とひげはこう組み立てる #
まず、データを小さい順に並べて中央値を求めます。ちょうど真ん中の値(偶数個なら中央 2 つの平均)が箱の中の線です。次に、下半分の中央値(第 1 四分位数 \(Q_1\))と上半分の中央値(第 3 四分位数 \(Q_3\))を求めます。\(Q_1\) が箱の下端、\(Q_3\) が箱の上端で、箱の高さ \(Q_3 - Q_1\) が四分位範囲(IQR)、データの真ん中 50% が入る幅です。それからひげを伸ばしますが、ここが数学I の教科書と少し違います。教科書の箱ひげ図はひげを最小値・最大値まで伸ばしますが、この図(seaborn)は「箱の端から \(1.5 \times \mathrm{IQR}\) 以内にある、いちばん遠い値」までしか伸ばしません。最後に、\(1.5 \times \mathrm{IQR}\) を超えて離れた値を外れ値の候補として 1 つずつ点で示します。図で箱の外に見える点がそれです。
データが変わると図はどう変わるでしょう。ある地域の車がすべて 5 だけ低燃費になれば、箱・ひげ・点がそろって 5 だけ上に平行移動し、形は変わりません。逆に、中央値は同じでも値のばらつきが 2 倍になれば、箱の高さとひげの長さが 2 倍に伸び、外れ値の判定ライン(\(1.5 \times \mathrm{IQR}\))も広がるので、以前は点だった値が「ひげの内側」に取り込まれることがあります。「位置」と「広がり」が別々に図に出るのが箱ひげ図の長所です。
動かして見てみよう #
下の図で「再生」を押すと、説明した手順が 1 つずつ進みます。手順ごとの説明は図の下に出ます。
気をつけたいこと #
いちばん見逃しやすいのは、山が 2 つある分布です。30 点付近と 90 点付近に分かれたクラスでも、箱ひげ図は「中央値 60、箱が広い」としか見せません。形が気になるときはヒストグラムで確かめます。二つ目は、外れ値の点を「異常」と決めつけること。\(1.5 \times \mathrm{IQR}\) は目安のルールで、右に長く伸びたゆがんだ分布では正常な値も点として描かれます。三つ目はデータ数を見ないことです。5 個のデータでも箱ひげ図は描けてしまうので、箱の根拠になった個数を必ず添えます。
やってみよう #
最初の課題は、クラスの 50 m 走の記録を小さい順に並べ、中央値・\(Q_1\)・\(Q_3\) を求めて箱ひげ図を紙に描くことです。ひげは「最小・最大まで」と「\(1.5 \times \mathrm{IQR}\) まで」の 2 通りで描き、違いを確認しましょう。二つ目は、男女別や部活別など 2〜3 グループに分けて横に並べ、「中央値の差」と「箱の高さの差」をそれぞれ言葉にすること。三つ目は、「箱ひげ図では見えないが、ヒストグラムなら分かる特徴」を 1 つ考え、具体的なデータの例を作ることです。
つぎに読む #
sns.boxplot でのカテゴリ別の描き方は 標準版の箱ひげ図で分布の要約を示す で扱っています。分布の「形」まで見たいときは ヒストグラム(高校生向け) へ、数式を使わない説明は 箱ひげ図(中学生向け) へ進んでください。分布を見る図の一覧は 分布のセクション にまとめています。