06.2.1 高校生向け
ヒストグラム(高校生向け)
こんな場面を想像してみよう #
学年 150 人の 50 m 走の記録が手元にあるとします。「平均 8.2 秒」と言われても、全員が 8 秒前後なのか、6 秒台の速い人と 10 秒台の人に分かれているのかは分かりません。知りたいのは、150 人分の値の散らばり方の形です。
下の図は標準版の例で、アヤメの花 150 個の「がく片の長さ」を 0.5 cm 刻みで数えたヒストグラムです。

4.3 cm から 7.9 cm の間に値が広がり、5〜6 cm 付近に山があります。この図を見れば「だいたい 5〜6 cm、まれに 7.5 cm 以上もある」と、平均だけでは分からない全体像が一瞬でつかめます。
棒はこう作る #
まず、最小値 4.3 cm と最大値 7.9 cm を確かめて階級の幅を決めます。4.3〜7.9 cm なら幅 0.5 cm で 8 個ほどの階級になり、幅はすべて同じにします。次に、各階級に入る値を数えます。4.0 以上 4.5 未満は何個、4.5 以上 5.0 未満は何個……と数えたものが度数分布表で、数学I で作ったものと同じです。それから、8 個の階級を横軸に並べて度数の高さの棒を隙間なく立てます。横軸は連続した数値なので棒と棒はぴったりくっつき、この点が、カテゴリごとに離して描く棒グラフとの見分け方です。最後に形を読みます。山の頂上(最頻の階級、この図では 5.5〜6.0 cm)、山の幅、左右の裾の長さ、本体から離れた小さな棒(外れ値の候補)を順に見ます。
階級の幅を 0.5 cm から変えると図はどう変わるでしょう。幅を 0.1 cm にすると棒が 36 本に増え、度数が 2〜3 の階級がギザギザに並び、山の形が見えにくくなります。逆に幅を 2 cm にすると棒は 2 本だけになり、「5〜6 cm に山がある」という情報が消えます。データ自体が変わった場合も考えてみましょう。150 個を別の品種だけに差し替えれば山の位置が右や左にずれ、2 つの品種が混ざっていれば山が 2 つに割れることがあります。「山が 2 つ」は、データの中に異なるグループが混ざっているサインです。
動かして見てみよう #
下の図で「再生」を押すと、説明した手順が 1 つずつ進みます。手順ごとの説明は図の下に出ます。
気をつけたいこと #
いちばん多い失敗は、階級の幅が 0.1 cm や 2 cm のように極端なことです。狭すぎると偶然の凸凹が目立ち、広すぎると形が潰れるので、幅を 2〜3 通り描いて、変わらずに見える特徴だけを信じます。二つ目は、データ数の違う 2 つを度数のまま重ねること。150 個と 30 個のヒストグラムを重ねると多いほうが必ず高く見えるので、比べるときは相対度数(度数 ÷ 全体)にそろえます。三つ目は幅のそろわない階級です。「0〜10、10〜20、20〜50」のように幅を変えると広い階級の棒だけ高くなって形がゆがむので、幅は必ず一定にします。
やってみよう #
最初の課題は、クラス全員の通学時間(分)を集め、幅 5 分と幅 15 分の 2 通りで度数分布表を作り、ヒストグラムを紙に描いて比べることです。二つ目は、同じデータの平均値と標準偏差を計算し、「平均の位置」と「平均 ± 標準偏差の範囲」をヒストグラムに書き込んで、山の幅と合っているか確かめること。三つ目は、「山が 2 つになりそうなデータ」を身の回りから考えることです(ヒント:2 つのグループが混ざっている量)。
つぎに読む #
sns.histplot でのビン幅の指定や対数軸は 標準版のヒストグラム で扱っています。分布を中央値と四分位数で要約して並べる方法は 箱ひげ図(高校生向け) へ、数式なしの説明は ヒストグラム(中学生向け) へ進んでください。分布を見る図の一覧は 分布のセクション にまとめています。